ワークライフバランスの重要性
当事務所のCredo(行動指針)においても「業務改善を日々行い、生産性を高め、ワークライフバランスを実現します。」と記載しています。
なぜこのようなことを書いているかというと、弁護士はワークライフバランスを実現しにくいという面があるからです。
弁護士や法律事務所は長時間労働が当たり前というような風潮も業界では一部残っています。事務所によっては過労死ラインを余裕で超えた水準で弁護士が働いているというのも珍しくありません。
もちろん、弁護士が、自分が好きで長時間働くことを否定するつもりはありません。僕も開業して何年間かは、土日も関係なく、深夜まで働いていました。これは自分が即独で法律事務所を開業したこともあり、やらなければいけないことや、学ばなくてもいけないことがたくさんあったため、やむを得なかったと考えています。
弁護士の仕事は労働集約型の仕事であるため、働いた時間が長くなればその分売上が上がるという面もあり、所属する弁護士の拘束時間が長い事務所はけっこう多くありますが、私は採用が売り手市場の現在において、所属弁護士が長時間労働することによって成り立っている事務所というのは、今後存続できないのではないかと考えています。
というのも、最近の修習生の話を聞いていると、仕事も大事にしたいけど、プライベートな時間(趣味や家庭生活等)も大事にしたいという方が増えているように思います。
弁護士だから長時間働くのが当たり前だという価値観を、弁護士に求める事務所というのは、今後は弁護士を採用することができなくなるのではないでしょうか。
私自身も、健康的で文化的な弁護士人生を送っていくために、長時間労働は避けるべきだと考えています。特に、睡眠時間は、仕事や健康のためにもしっかりとったほうがよいと思います。
競争が激しい東京や大阪で弁護士をやるのであればハードの働き方をするのはまだ分かりますが、地方で弁護士をするのにハードな働き方をしなければならない意味はほとんどないと思います。
そのため、当事務所では、メンバーのワークライフバランスの重要であると考え、それをCredo(行動指針)に記載しています。
生産性向上の必要性
他方、ワークライフバランスを実現するために、単純に労働時間を減らしただけでは意味がないし、その結果、事務所の売上が落ちて、利益が残らず赤字になり、事務所は解散せざるを得なくなくなり、メンバーも仕事を失うというのでは目も当てられません。
ワークライフバランスを実現していくためには、『生産性向上』も一緒にやっていかなければいけません。労働時間を減らしつつ、事務所に利益をきちんと残すこと、それが生産性の向上になります。
生産性の向上というと、目の前の仕事をいかに効率的にこなしていくかという文脈で語られることも多いですし、もちろん、それも大事なのですが、それで削減できる時間というのは意外と大したことがありません。
0に10をかけ算しようが、100をかけ算しようが、結果は0であるように、無駄な仕事を効率的にこなしていったとしても、結果には反映されないのです。
生産性向上とは何かをやめること
まず生産性向上のためには、その仕事が本当に必要な仕事なのか無駄な仕事なのかを判断して、無駄なものを躊躇なくやめていくということが大事になります。ここに関しては、経営者弁護士で主導してやっていかないと難しいかと思います。
無駄な仕事というのはこれまでの惰性でやってきたような仕事です。
そういった仕事をゼロベースで見直す必要があります。
例えば、
・意味の無い会議
・意味の無い報告書などの書類作成
・時間は取られるが利益を生み出していない顧客からの仕事
・採算のとれていない事業の撤退
そういった仕事を見返して、価値を生み出していない仕事については、思い切ってやめてしまう。それによって、労働時間を削減できるといえます。
やめることにあたってはいろんな人間関係のしがらみがあるかと思いますが、ここに踏み込んでいくのが経営者弁護士の仕事だと思います。
当事務所でも生産性向上のため、何かをやめていくという取り組みに関しては、メンバーにも協力をお願いして継続的に行っていくつもりです。
まとめ
当事務所では、生産性向上とワークライフバランスを大事にしているということを本記事で書かせていただきました。皆さんのキャリア選びの参考になれば幸いです。