代表弁護士の小前田です。
皆さん、弁護士の就職活動をしていると、都会の事務所の情報は多いけれど、地方の事務所の情報が非常に少ないと感じませんか。
これでは、地方で弁護士をやることがどういうことかということが修習生の方に伝わっていかないのではないかと私は思います。
そこで、今回は福井県で弁護士を10年やっている私が、地方で弁護士をやる魅力について伝えていきたいと思います。
多様な案件を経験しやすい
地方での弁護士の特徴として、多様な案件を経験しやすいということがあります。
これは、東京に比べて事務所間での競争がほとんどなく、比較的さまざまな案件の問い合わせを事務所に集めやすいというが理由です。うち事務所の場合だと、交通事故(被害者側)、離婚、相続、債務整理、企業法務(中小企業関係)、刑事、その他の一般民事など様々な事件があります。
東京の場合だと、競争が激しく事務所ごとに専門分野の特化が進んでいて、事務所が力を入れている分野以外の事件を経験することは、なかなか難しいのではないかと思います。
もちろん、大企業向けの企業法務案件は東京や大阪の事務所でなければ経験することは難しいですが、一般民事系事務所(マチ弁)で取り扱うといわれているような案件のほとんどは地方の事務所においても経験することができます。
地方の事務所は、実は、弁護士としてのスキルや能力を高めやすいという環境なのです。
私は、弁護士はいろんな分野の経験を積むことによって、弁護士としての実力を高められると考えているので、新人弁護士には1年目からさまざまな案件を経験してもらうようにしています。
ワークライフバランスを実現しやすい
地方の事務所の場合、東京に比べれば事務所間での競争というのはほとんどないため、そこまで営業活動等に時間を割かなくてもよいので、地方の事務所のほうが、労働時間などのワークライフバランスを実現しやすいと思います。
また、地方の事務所の場合、都会の事務所に比べると経費が安いため、無理に売上を上げなくてもよいということがあります。特に賃料は東京と地方では大きく異なります。
東京の丸の内で事務所を開設している先生に賃料を聞いたことがあるのですが、事務所の賃料の坪単価がうちの事務所の10倍くらいでした・・・。
もちろん、地方の事務所でも労働時間が長い事務所はいくらでもありますが、一般的には都会の事務所に比べると、地方の事務所のほうが労働時間は短いと思います。
そのため、キャリアを磨きつつも、家族との時間や、趣味の時間を大事にする生活も送ることができます。
ちなみにうちの事務所の場合は、19時くらいには弁護士も含めてだいたいのメンバーは帰っています。法律事務所の業界的には、うちの事務所はそんなに遅くまで仕事をしていないカルチャーの事務所です。
これは、事務所をあげて、生産的かつ効率的に業務を進めていくということを日々実践しているからだと思います。
やりがいを感じやすい
地方の事務所の特徴として、地域の方との繋がりをつくりやすいので、やりがいを感じて仕事をするということができます。
また、都会に比べれば、まだまだ弁護士のことを尊敬してくれる面もあり、仕事もしやすいかと思います。
満員電車での通勤がない
正直、個人的に都会の生活で一番嫌なのが、満員電車での通勤です。満員電車に乗ったときのストレスと、乗った後の疲労感がとても嫌です。
地方で暮らす場合については、満員電車での通勤は無くなります。
福井のような地方の場合、事務所の徒歩圏内で賃貸物件を探すということも難しくありません(賃料も都会に比べればだいぶ安いです)。
ただし、地方は車社会なので生活するにあたって、車と免許は必須になります。
生活コストが安い
賃貸物件の賃料が安い等、生活コストが安いです。
都会と、地方では、同じ年収であれば、地方のほうがより豊かな暮らしができます。
田舎で生活するわけではないこと
首都圏での生活しかしていない方でたまに、①地方都市で暮らすことと、②田舎で暮らすことの区別がついていない方がいます。
「地方で暮らす」といった場合に、上記の①、②の2つの意味がありますが、両者は全く別物なので、分けて考えたほうがよいと思います。
たまにいらっしゃるのが、「地方で暮らす」というと、TV番組の「ポツンと一軒家」に出てくるような田舎で生活することを想像される方がいらっしゃいます。しかし、これは地方=田舎と考えている方の発想です。
首都圏での暮らしが長い修習生に、初めて福井に来たときの感想を聞くと、「福井は想像以上に都会だった」と何回か言われたことがあり、どれだけ田舎だと思っていたのだろうと思いました。
地方で働く多くの弁護士は、上記①の地方都市で生活をしています。
地方都市であれば、生活に必要なインフラや利便性があり、ネットで大概のモノを買うことができ、田舎特有のウェットな人間関係もない生活ができるので、都市部とそれほど大きく変わらないライフスタイルを送ることができます。もちろん都市部にしかない最先端の文化的な刺激は少ないかもしれません。
田舎暮らしを否定するつもりは全くありませんが、地方で弁護士をするからといって、田舎で生活しなければいけないわけではないのです。
東京や大阪へのアクセスもよい
地方都市で生活をしていたとしても、たまには、東京や大阪などの都市部に遊びにはいきたいものです。
だいたい、日本ではどこの地方都市に住んでいても、東京や大阪などの都市部へのアクセスはよいのです(逆に、地方から地方への移動は大変です)
私も、仕事や遊びで東京に行くことは多いです。
普段は地方都市で仕事をして、週末は東京に遊びに行くといったライフスタイルを送ることもできます。
まとめ
今回は、地方で弁護士をやる魅力について書いてきました。
地方でも有意義な弁護士生活を送ることは可能ですし都会にはないメリットも多いと私は思います。皆さんのキャリア選びにおいても、ぜひ地方の事務所も選択肢に入れていただけると幸いです。